公的年金の基礎知識

公的年金(厚生年金・国民年金・共済年金)の基礎の基礎を掲載しています。例外や特例は、適用範囲が広いものを除き、掲載していません。

加入する(加入させられる)

公務員または厚生年金保険のある企業に勤めた場合

働き始めた、一番最初の日から、「公務員は共済組合」「会社員は厚生年金保険」に加入します。
例)桑野さんは大学を卒業、新卒で3/25から民間の会社で働き始めた場合は、3/25から厚生年金保険に加入
→会社が手続きをとってくれます。

20歳の時点で、厚生年金保険や共済組合に加入していない場合

20歳の誕生日の前日(満年齢の20歳)から、国民年金に加入します。
例)大学生の桑野さんは、7月15日が誕生日なので、20歳の誕生日の前日の7月14日から、国民年金に加入
→役所から年金手帳が強制的に送られてきます。
(年齢計算に関する法律によって、誕生日の前日に満年齢に達するようになっています)

  • 加入が必要なのは、日本国内にいて日本国の法律の適用を受ける人です。国籍は関係ありません。
  • 外国人の場合は、満20歳になったときであっても、強制的に年金手帳が送付されないことがあります。

保険料を支払う

  • 保険料は、1カ月単位で支払う。日割り計算はしません。
  • 保険料は、加入した月の分から、支払います。月末に所属していた保険制度へ支払います。
    • 月末とは
      厳密に、月の末日です。厚生年金保険で多いのが、末日まで勤めていなくても、感覚的に「末日」と思っている場合、トラブルにつながります。大の月は31日、小の月なら30日が月末です。
    • 保険料トラブルが多いのは
      4月のゴールデンウイーク前、12月の年末です。4月28日や12月28日・29日に退職されると、それぞれ4月、12月の保険料は、厚生年金保険ではなく、国民年金(翌日に再就職していなければ)です。
  • 厚生年金保険や共済組合に加入した場合は、企業・役所が給与計算の時に、控除する保険料を計算し、納めます。
  • 国民年金は、加入者本人が支払います。
  • 支払期限は、今月の保険料は、来月の末日です。
  • 厚生年金保険の場合、会社は、来月支給の給与から、今月の保険料を控除します。給与計算の締め日は、関係ありません。
  • 国民年金の保険料を支払えない経済状況の時は、「免除」「納付特例(学生のみ)」の制度があります。手続きが必要です。
  • 保険料を「免除」「納付特例」により猶予された場合、最高で10年前の保険料を支払うことが出来ます。追納と言います。追納しなくても構いませんが、経済的に余裕が出来れば保険料を払うことをおすすめしています。
  • 障害年金のことがあるので、必ず「免除」「納付特例」の手続きをとるようにお願いします。万が一のとき、無年金になることだけは避けたいと思います。

事故に遭う(障害を負ってしまう)

  • 満20歳になるまでに、障害を負ってしまった場合は、20歳から障害基礎年金が出ます。20歳未満でも厚生年金保険や共済年金に加入している場合は、加入の制度から障害年金が出ます。
  • 厚生年金保険のある会社(事業所、お店)に勤めているときに、障害を負ってしまった場合は、障害厚生年金が出ます。ただし、過去1年以内に保険料を納めていない時期があれば、障害年金は出ません。
  • 国民年金に加入しているときに、障害を負ってしまった場合は、障害基礎年金が出ます。ただし、過去1年以内に保険料を納めていない時期があれば、障害年金は出ません。「免除」「納付特例」の手続きをしているときは、納めているのと同じ扱いになります。

遺族になってしまう

  • 厚生年金保険のある会社(事業所、お店)に勤めているときに、万が一死亡してしまったら、遺族(妻、高校生以下の子)に遺族厚生年金が出ます。
  • 国民年金に加入しているときに、万が一死亡してしまったら、遺族(妻、高校生以下の子)に遺族年金が出る場合があります。
  • 例えば、厚生年金保険のある会社に勤めている夫40歳が死亡した妻38歳と子には、大雑把に計算して120万円×50年間(88歳まで生きると仮定)=6000万円の遺族厚生年金が受給できる。

年がいったので、「老齢年金」を受ける

法改正の状況によっては、内容が変わっている場合があります。

  • 原則は、65歳から受給できます。
  • 厚生年金保険の加入期間が1年(12カ月)以上ある場合は、原則として60歳から受給できます。
  • 国民年金だけの人も、繰り上げて受給を選択すれば、60歳から受給できます。
  • 例えば、厚生年金保険のある会社に勤めており、85歳まで生きると仮定して、220万円×20年間=4400万円。配偶者である妻の加給年金、振替加算も加算すれば、ざっと5000万円!

「老齢年金」を受ける資格

法改正の状況によっては、内容が変わっている場合があります。

  • 厚生年金保険の加入期間と、国民年金の加入期間のうち保険料を納めた期間、共済組合に加入した期間を合計して、25年(300月)以上あれば、「老齢年金」を受給できます。
  • 平成3年3月までに、昼間部の学生であった期間は、25年の期間に入れることができます。年金額には反映されません。
  • 昭和61年3月まで、20歳以上60歳未満で、配偶者が厚生年金保険のある会社に勤めているか公務員であれば、その期間は、25年の期間に入れることができます。年金額には反映されません。
  • 「免除」の期間は、その期間は、25年の期間に入れることができます。年金額は、免除の割合によって違うが、ゼロではありません。
  • 加入期間は、連続していても、途中に未納の期間があっても、25年あるかないかだけが問われます。

「老齢年金」の年金額は

  • 厚生年金・国民年金とも、掛けた期間と保険料に応じて、年金額は計算されます。
  • 厚生年金は、給料をもとに平均値を出し、加入期間を掛けて年金額が計算されます。
  • 国民年金は、12カ月保険料を納付することで、約2万円の年金額になります。

60歳以後も働きたい

法律が改正され、企業には原則65歳までの雇用が義務付けられています。

  • 60歳以後に勤める会社などとの雇用契約の内容により、変わってきます。つまり、本人と相手先の会社しか、実際の年金がどうなるのか、分かりません。厚生年金保険のある企業に勤め、厚生年金保険に加入したときだけ、年金と給与の調整がされます。
  • 厚生年金保険にしか加入したことがない方が、共済組合に加入すれば、在職老齢年金の対象外となります。ただし、そんなに美味く共済に加入できる職場を探せられれば、という前提付きで、よく言われる裏技。

保険料の支払いをやめる(やめれるとき)

  • 厚生年金保険のある会社を、60歳以上で辞めたとき。
    60歳までにやめたときは、国民年金に加入、保険料の支払い。
  • 国民年金は、60歳になるか、厚生年金保険のある会社(事業所、お店)に勤めたとき。
    • 国民年金の保険料を支払わないときは、障害や遺族の年金を受けることができないことに注意します。妻や子どもがいる方は、よく考えて。

年金あれこれ

  • 社会保険料控除がある。保険料の全額が所得から控除されるので、実効税率や給付を考えると、間違いなくお得。
  • 平成9年以降は、基礎年金番号で国民年金・厚生年金保険間の加入・脱退は、チェックされている。実態は、平成14年以降かと思われる。

    大変申し訳ありませんが、電話による無料の年金に関する相談は、行っておりません。また、個人様からの年金手続の代行は扱っておりません。
    悪しからず、ご了承ください。


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