百貨店内のテナントは、36協定も労働保険も届出不要?

過去に何度か調べているのですが、もう一度確認。
と言うことですが、今回は違うアプローチから。

ホームページをご覧になった新規見込みのお客様との会話からです。やり取り自体は、事情がありますので、省略します。

原則は、
●労働基準法=事業場単位(=場所)
●労働保険・雇用保険・社会保険=事業所単位(=場所)
です。
(まあ、社保まで厳密に運用している企業様は、事業所に役員が常駐しているような企業様だと思われます。この新規見込みのお客様が以前ご依頼なさっていた顧問社会保険労務士は、テナントは事業場・事業所でないと判断されていたようです。←状況証拠から)

過去に廃業されたお客様で小売業があったのですが、その時には、全ての小売店舗は労働保険を成立・継続事業の一括、雇用保険は事業所非該当で処理していました。全店舗、ショッピングモールなどのテナントとして入っていました。各事業所=店舗のスタッフ数は、2名3名で、手が足りない時は本社のスタッフが応援に。

他社の例も見てみましょう。
労働保険適用事業場検索で、調べて見ました。「阪急梅田」で検索すると100件を超えているので、検索結果が表示されません。これはこれで良いです。
もう一つ、「回転焼き・太鼓まんじゅう」で有名な、あの企業様の労働保険情報を調べました。HP記載の全店舗ではありませんでしたが、そこそこ件数が出てきました。百貨店のテナントでも、労働保険成立のようです。テナント内で調理・製造も行っているので、労災事故発生のリスクを考慮すれば、当然でしょうか。

直近上位の事業と一括して処理した場合は、どうなるのか?
問題となるのが、労働基準法・安全衛生法ではないでしょうか。10人はいざ知らず、50人に至ってしまった場合は、産業医・衛生委員会・衛生管理者・検診報告等々が必要に。

「新聞社の通信部」(通達例示)のように一人の場合なら、労働保険も36協定も直近上位に合わせても無理はないと思います。新聞社の記者さんが裁量労働制を採用していても…。

ケースバイケースですが、36協定については悩みどころです。理屈を作っておかないと、どの事業場も直近上位と一緒にしてしまうと、50人を超えてしまうケースも。36協定の提出自体は、残業の有無と関係していますから。

「テナントの店舗は、事業場・事業所ではない」
そう言いたいところですが、弊所・大阪社労士事務所としては、法令の原則(事業場・事業所ごとの手続き)を説明して、実際の手続きに関しては、ご依頼者様(お客様)の最終的なご判断をお願いする次第でございます。



参考
労働基準法解釈総覧から引用 第九条

運用の基本方針
(一)個々の事業に対して労働基準法を適用するに際しては、当該事業の名称又は経営主体等にかかわることなく、相関連して一体をなす労働の態様によって事業としての適用を定めること。
(二)事業とは、工場、鉱山、事務所、店舗等の如く一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいうのであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものではないこと。
(三)
1 従って一の事業であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは、原則として分割することなく一個の事業とし、場所的に分散しているものは、原則として別個の事業とすること。
2 しかし、同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって労働基準法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とすること。例えば工場内の診療所、食堂等の如きはこれに該当すること。なお、個々の労働者の業務による分割は認めないこと。
3 また、場所的に分散しているものであっても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連ないし事務能力等を勘案して一の事業という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱うこと。例えば、新聞社の通信部の如きはこれに該当すること。
(昭22.9.13発基17号、昭和23.3.31基発511号、昭33.2.13基発90号、昭63.3.14基発150号、平11.3.31基発168号)


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