年次有給休暇の日数は、お分かりでしょうか?

年次有給休暇の日数、誰が何日、保有しているのか。」
「そもそも、年休の日数、把握する必要あるの?」
「年休なん、有休なん、どっちなん?」
お客様から言われますが、次回の労働基準法改正で、年次有給休暇の強制取得が義務化されそうな勢いです。

勢いという表現は、不適切かも。「発生した年休が10日以上の場合、そのうちの5日について、毎年、会社が従業員に対し時季を指定して与えなければならない」と言うのが、今回の改正案。

計画的付与については、あえて触れません。
新規に適用すると、労働条件の不利益変更になると考えるからです。
(それなりに、バーターの条件があれば、対応できます。)

で、早々に確認しましょう。
●今、従業員は、何日年次有給休暇を持っているのか?(権利として、何日?)
●就業規則での年次有給休暇のルール・規定は、実態に即しているのか?

では、細かいことは抜きにして、年次有給休暇とは?

Q.年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。

A.年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことです。
年次有給休暇が付与される要件は2つあります。(1)雇い入れの日から6か月経過していること、(2)その期間の全労働日の8割以上出勤したこと、の2つです。この要件を満たした労働者は、10労働日の年次有給休暇が付与されます。また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、(2)と同様要件(最初の年次有給休暇が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出したこと)を満たせば、11労働日の年次有給休暇が付与されます。その後様に要件を満たすことにより、次の表1に示す日数が付与されます。

表1
大阪社労士事務所・年次有給休暇

年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えなければならないと労働基準で定められています。使用者は、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与ることが事業の正常な運営を妨げる場合にのみ、他の時季に年次有給休暇をえることができますが、年次有給休暇を付与しないとすることはできません。
パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者についても年次有給暇は付与されます。
ただし、上記の場合よりも少なく、比例的に付与されます。具体的には、次の表2のとおりとなります(太線で囲われた部分が付与され年次有給休暇の日数(単位:労働日)です)。

表2
大阪社労士事務所・年次有給休暇

一般の労働者(週所定労働時間が30時間以上、所定労働日数が週5日以上の労働者、又は1年間の所定労働日数が217日以上の労働者)には、表1が適用されます。表2は、週所定労働時間が30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下、又は1年間の所定労働日数が48日から216日までの労働者に適用されます。

(厚生労働省ホームページから引用)

年次有給休暇の適正な管理

個人毎?期日管理?

それは、就業規則に規定されているはずです。規定されていない場合は、労働基準法の規定なり、慣習なりで、決まってきます。
(慣習と言っても、有休を認めないのはアウトです。)

それぞれの従業員の年次有給休暇が、すぐに「○日」と答えられないようでは、管理ができていない。即ち、次回労働基準法が改正されれば、そもそも対応ができない状態です。

ざっと、正社員なら、3年前から休暇の取得状況を調べれば、現時点での年次有給休暇の保有日数を確認することができます。年休の時効が2年なので、3年前に遡れば、たぶん大丈夫でしょう。

パートタイマーの年次有給休暇

パート社員さんにも、もちろん有休は発生します。

えっ、何日か分からない?
実は、介護労働者の資料が参考になります。

○予定されている今後1年間の所定労働日数を算出し難い場合の取扱い
 年次有給休暇が比例付与される日数は、原則として基準日(年次有給休暇付与日)において予定されている今後1年間の所定労働日数に応じた日数です。
 ただし、予定されている所定労働日数を算出し難い場合には、基準日直前の実績を考慮して所定労働日数を算出することとして差し支えありません。したがって、例えば、雇入れの日から起算して6か月経過後に付与される年次有給休暇の日数については、過去6か月の労働日数の実績を2倍したもの(←ここ、初回の付与については非常に大事)を「1年間の所定労働日数」とみなして判断して差し支えありません。」

端折りますが、これを参考にしてください。「週4日、1日4時間」などとはっきり決まっている場合(当初契約した場合)は、表2を参考にあてはめれば日数が出て来ます。

飲食店・ショップなど、非定型的な勤務シフトで、当初の契約とずれたり、週の所定労働時間が上下する場合は、○予定されている今後1年間の所定労働日数を算出し難い場合の取扱いを参考にしてください。

もっと書くと、6か月の労働実績を簡単に確認するには、給与計算期間の初日に採用するのが楽だと分かります。ついでに、退職してもらう時は、給与計算期間の最終日・締め日です。これ、常識!

「勤務シフトを1か月前に組みますけど」

こういう場合は、単純・シンプル。
「シフトを組む前に、有休の希望を出してもらいます。」

もちろん、就業規則の規定自体を見直さなければならないかも知れません。シフト・勤務割りを発表してから、年次有給休暇の希望を出させるのは、愚の骨頂です。ですので、基本は、「シフト組の前までに」。

飲食店・ショップであれば、当然です。急な有休取得に対しては、役員・管理職での対応以外では、他の従業員にヘルプをお願いすることも。処遇で何とかしておきたいところです。

有休の日数が分からない

労働基準法通り個別管理する方法、基準日で管理する方法があります。

メリット・デメリット、どっちもどっち。企業様の実態やお気持ちに合わせて、決めれば良いと思います。

付与日数については、公務員式で一律付与しているところは民間企業では少ないと思います。勤続年数で、増える方法が主流でしょうか。

管理自体、従業員にまかせるのか、人事労務部門が管理するのか、それも色々な方法があります。

今、現在の各従業員の持っている年次有給休暇の日数が分からないのであれば、早急に日数確認を行いましょう。そして、有休の管理方法も、要検討です。

年次有給休暇の管理アドバイス

大阪社労士事務所では、年次有給休暇について、管理の支援を行っています。

従業員の保有日数だけでなく、就業規則の規定も見直しが必要かも知れません。

日数確認の場合、1名当たり500~1000円。
継続的な管理で、同じく1名当たり300~500円、企業様ごとの基本料金が5千円~2万円(従業員数に因ります)です。

就業規則だけのサポートも行います。

是非、ご検討ください。
労働基準法の改正・施行は、目の前に迫っています。


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、公的保険手続き・給与計算・就業規則・労務相談を行う、ごく普通の社会保険労務士事務所です。】

年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。

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