疾病治療中の定期健康診断の受診拒否

「『がん』を手術で除去、通院治療中の社員が、今度の定期健康診断を受診しないと言っている。」
「脳出血でリハビリ通院中の従業員が、これ以上、血液検査はされたくないといっているのですが。」
実は、ここ1年ほどで急に増えてきた相談事例です。

『がん』の場合は、レベルや部位によっても違うようですが、エックス線検査や血液検査、脳出血の場合も同様に、社員・従業員から受診したくない旨、申し出がありました。

理由は、「通院している病院・診療所で毎月のように血液検査をしている。定期検診よりも詳しく検査しているはず。」「レントゲン(エックス線)を、そんなに受けたら、被爆して別の病気になるのでは。(社員・従業員さんの側からの疑問)」ということです。

血液検査の結果について、情報提供をお願いしたところ、社員・従業員の側も、通院している病院・診療所の医師も拒否されたと聞いています。

労働安全衛生法
(健康診断)
第六十六条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

労働安全衛生規則(昭和四十七年九月三十日労働省令第三十二号)
(定期健康診断)
第四十四条 事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀痰検査
五 血圧の測定
六 貧血検査
七 肝機能検査
八 血中脂質検査
九 血糖検査
十 尿検査
十一 心電図検査
2 第一項第三号、第四号、第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
3 第一項の健康診断は、前条、第四十五条の二又は法第六十六条第二項前段の健康診断を受けた者(前条ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から一年間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。
4 第一項第三号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、四十五歳未満の者(三十五歳及び四十歳の者を除く。)については、同項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(千ヘルツ又は四千ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。

良く目にする、定期健康診断のルールです。

追加で、資料を貼り付けます。
大阪社労士事務所・定期健康診断の項目・省略基準等

ご相談を受けた社員・従業員の方の年齢は、ほぼ50歳代です。
規則そのままだと、年齢によって、血液を抜いての検査を省略することはできません。胸部エックス線の検査も…。

労働安全衛生法、通達、関連書籍、過去の事例などを可能な限り調べましたがジャストフィットな結果は出ず。仕方なく、大阪府内の某労働基準監督署へ直接相談に伺いました。

相談に伺って、出てきた答えです。
●血液検査について、事業者として受診させないのは、安全衛生法・規則(厚生労働省令)に違反する。
●ただし、事情が事情なので、受診したくない旨の申出書・念書を社員・従業員の方に書いてもらっておく。(安全配慮義務にも影響するので)
●臨検があった場合には、個別の対応になるとしか言えない。←当たり前と言えば当たり前でしょうか。可能性としては、是正勧告の対象~。労働基準監督官次第?
●省略基準はあるけれども、「「医師が必要でないと認める」とは、自覚症状及び他覚症状、既往歴等を勘案し、医師が総合的に判断することをいいます。したがって、~省略基準については、年齢等により機械的に決定されるものではないことに留意して下さい。」であるので、医師が省略しても良いと判断するかも知れない…。←窓口の担当官の回答としては、仕方ないのかも。

スパッとしたお答えではありませんでしたが、文書にまとめて、お客様(顧問先様)へご報告。その中の企業様にはコンプライアンスに力を入れているところもあり、返ってきたお言葉が「うーん、受診させないのは違反ですか」でした。テクニックとしては、労働者の方々に受診していただき…。

がん対策基本法も、昨年12月に改正・可決されたことです。
定期健康診断の項目・省略基準の見直しもやっていただけないでしょうか。是非、お願いしたいと思います。

※守秘義務の関係で、脚色しています。特定の企業・特定の人物について、記述しているわけではありません。また、内容について勘違いをしているのかも知れません。取扱いは慎重にお願いします。なお、このページの情報によって不利益・何らかの不都合が発生しても、弊所・大阪社労士事務所では、顧問先様を除き、責任を負いません。


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