従業員側の労務相談室

一般的には、労働に関しての窓口は次のところです。

  • 労働基準法、未払賃金、労災−−労働基準監督署
  • 失業手当、求職−−公共職業安定所(ハローワーク)
  • 男女雇用均等法、セクハラ、育児・介護休業−−雇用均等室
  • 労働相談一般−−労政事務所

従業員さんからのご質問をまとめてみました。

「リストラの原則」があると聞きました。もし、そのようなものがあるのなら、教えて下さい。

労働基準法には、そのような内容はありませんが、判例から、リストラ解雇(整理解雇)に当たっての原則はあります。

それは、概ね次のような事項です。

  1. 労働者の能力
    つまり他の者より劣っているかどうか、それが客観的である必要があります。
  2. 経営上の理由
    経営不振や構造的不況業種であるとか、技術革新に遅れてしまったとか、色々あるでしょう。
  3. 会社側の努力
    経費を削減したとか、交際費や処分できる動産不動産を処分していないかどうかなどです。
  4. 解雇者選定の理由
    能力と同じ事になるかも知れませんが、年齢や入社年数など客観性が必要です。

よく伺うのは、「事業部が無くなったので、その事業部の者はみんな退職」「課の者のうち、一番若い女性が解雇」などです。実は、それらは間違いで、役員や社長から責任を取る、あるいは管理職が減俸を受ける、などの処分を行ってから、一般の従業員に処分を広げるべきです。

先日出社したら社長から「君は明日から来なくて良い。」と、言い渡され、解雇されてしまいました。 給料は振り込まれてきましたが、退職金はないんでしょうか?

先ず、退職金の件ですが、労働基準法その他の法律に「退職金は法律で出すように決まっている」ものではありません。ただ、会社が決めているなら、出さなければなりません。
就業規則や退職金規程があれば、一番はっきりと分かりますが、それらが無い場合にも方法はあります。

以前の退職者に、退職金は出ていませんか?
他の退職者に退職金が出て、貴方に出ないのは、今までの社内の慣習からおかしい気がします。

また、貴方の場合、急に解雇を申し渡されたので、本来なら平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を受け取っていないといけません。もし、受け取っていないようでしたら、会社に申し出ます。
それでもダメなら、労働基準監督署へ相談に行ってください。

経営者から、来月の給料から3万円カットすると言われました。辞めさせられるより、給料ダウンを了解したのですが、納得できません。

難しいところですが、給料ダウンを了解してしまうと、合意があったと対外的には思われてしまいます。
ご自身の能力や業績がどうか判断材料はないのでしょうか。

どうしても納得できない場合は、労働局のあっせんや労働審判を利用する方法があります。

ただし、在職では、何かアクションを起こすのは、現実問題として難しいのではと思います。
お力になれなくて、スミマセン。

会社を辞めさせられましたが、失業保険をもらうための書類を作ってくれません。噂では、保険にも入っていなかったようです。失業保険をもらう方法はないんでしょうか?

最悪のケース、会社が雇用保険に加入していなかったケースでお答えします。
結論から申し上げますと、「失業手当は、受給できます」です。

なぜなのか?
それは、雇用保険、労災保険の労働保険は、従業員が1人でもいれば、加入が義務づけられています。
そして、あなたの会社は、単に加入の手続をしていなかっただけです。

書類としては、過去6カ月、あれば1年以上の給与明細(無くしてしまった場合は、通帳など給料の額の分かるもの)、勤務していたことが分かる書類、ハンコ、写真、通帳などを持って、住所地を管轄する公共職業安定所でご相談して下さい。
出来れば、事前に必要な書類について、確認の電話を入れておきましょう。

退職したばかりですが、前職の職場が年金手帳を返してくれません。何か、悪いことに使われるのではないかと不安です。

実は、よくあることです。
年金手帳に関しては、再発行できますので、社会保険事務所で手続きができます。

年金手帳単独では、顔写真がないので、身分証明できませんので、悪用はしにくくなっています。

もう一度前職の職場に電話をいれるなりして、返してもらえないときは、紛失した旨の書類を書いてもらいましょう。

私は、スーパーでパートタイマーとして、働いていましたが、今回の契約更新で、「働きが悪いから、更新できない。」と言うことで、クビになりました。6カ月更新で、もう10年以上も働いていました。

あなたの勤務状態が、ここ半年の間に、急に悪化したのでしょうか。状況が不明なので、一般論でお答えいたします。

通常は、契約更新を行い、期間が1年を越えると、「契約満了だから、クビ」はダメと言う厚生労働省の目安が出ています。契約更新を反復継続して行ったわけですので、あなたの場合も基準に合っているでしょう。しかし、単に会社にクレームを言っても冷たくあしらわれるのがオチです。「裁判すれば」話は別です。

就業規則や退職金規程の不備と絡めて、あなたを有利にする事も、裁判では出来そうですが、現状では、良いお話をするのは難しいです。

職場に戻りたければ、裁判が数少ない手段です。
そうでなければ、金銭解決の道しか残されていません。

勤務していた自宅近所のショップが閉店され、電車で1時間半のショップに配属されそうです。30分ほどの私鉄ターミナルにショップがあるので、そちらに行きたいのです。

何か事情があるのか、お尋ねしたところ、単に近い方に行きたいと言うことでした。職種も販売員で、勤務地は限定されていないのが、労働契約書にも就業規則でも確認されています。

介護や育児などの事情があれば、会社に事情を説明して、配属先を考慮してもらえると思いますが、お話の内容では難しいようです。

会社の人事労務ご担当者に、ご自分の気持ちを分かっていただけるよう、今後も働きかけてはいかがでしょうか。

会社が倒産して、直前の2ヶ月間の給料を支払ってもらっていません。何か救済方法があれば、教えて下さい。

労災保険の福祉事業から、未払賃金の立替事業を行っています。

ただし、まるまるの賃金が返ってくるわけではありません。
賃金の80%が上限と決められていますし、上限額も決められています。多少時間は、かかりますが、お近くの労働基準監督署で、ご相談してください。

契約社員として2年以上勤務しています。別会社で正社員の中途採用があり内定をもらったのですが、勤務先に言うと「今度退職者が出たら、貴方を正社員にします。」と言われ、中途採用の内定を断りました。退職者が出たのですが、新しく採用したようです。

2年以上も働かれていて働きやすいのかも知れませんが、裏切られたようで残念ですね。

本来なら現在の勤務先に正社員にしていただくよう強く要求をされるのが筋だと思います。
ただ、別会社で採用内定も出るくらいですので、新たな会社でがんばる道を選択されることも、有力な選択肢です。

仕事中に事故に遭い、3カ月の入院生活を余儀なくされました。ところが、事故の翌日に社長から「けが人に給料は払えん。辞めてくれ!」と言う言葉だけで、辞めさせられました。仕事中の事故なのに、ひどすぎます。

労働基準法では、業務上傷病をおい休業している期間プラス30日は、解雇制限にかかります。だから、あなたのような場合は、本当は解雇されないわけです。

まずは、ご家族の方に、会社を管轄する労働基準監督署でお話をしていただいた方がよいです。労災給付の担当と、労働基準の担当は、違います。その後、労基署の担当官から会社へ問い合わせあるいは調査を行います。

その段階で会社側がどの様な対応に出るか、ですが、最悪の場合には、「裁判」になってしまいます。取りあえず、今あなたに申し上げることが出来るのは、身体を治すことの方が先決です。
お近くの社会保険労務士か弁護士の先生に事件の処理を依頼されるのも、一つの方法です。



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